水 - 4月 1, 2009

Life in Parisの更新を終了します



20066月末にフランスから帰国して以来、僅かながらに更新していたこのblogですが、ついに更新の終了を決めました。「何かを捨てる」という決断が大の苦手な僕にとって、Life in Parisの更新終了を決めるのに2年半もかかってしまいました。とはいえ、ものを捨てずにとっておくのが僕の癖ですから、更新終了したblogはこのまま公開を続けます。
(いままでとほとんど何の変化もないということになりますが・・・)

代わりに、新しいblogをスタートさせたいと考えています。日常生活の中から、「blogを更新する」という行為がすっかりなくなってしまっていた僕が、果たして再び新しいblogを立ち上げて大丈夫なのか、かなり不安がありますが、とりあえず始めるだけ始めてみようと思います。

新blogは「Life in Hiroshima 」です。まったく芸のないネーミングですが、これもお約束ということで。どうぞよろしくお願いいたします。

Posted at 12:30 午前    

土 - 1月 19, 2008

ル・コルビュジエ全作品ガイドブック





東京大学教授の加藤道夫先生による監訳、『ル・コルビュジエ全作品ガイドブック』が1月末に発行されます。目次は以下の通り。

1.パリ
2.フランス
3.スイス
4.ヨーロッパ
5.南北アメリカ
6.インド
7.その他(チュニジア、イラク、ロシア、日本)

かくいう僕も、第1章のパリ編の翻訳を担当させていただきました。パリとその周辺には、意外とたくさんのル・コルビュジエ作品があり、久々にパリの地図を片手にガイドブックの翻訳をするのは、懐かしく楽しい体験でした。
建築の詳細な情報はもちろん、見学するうえで必要な情報も満載の本書は、ル・コルビュジエ巡礼をしたい建築ファンには、とても便利な1冊だと思います。



Posted at 11:37 午前    

月 - 1月 7, 2008

国立西洋美術館





ル・コルビュジエが設計した上野の国立西洋美術館が、日本政府によって世界遺産に推薦されることが1月7日に正式決定しました。昨年の12月21日に、国の重要文化財に指定されたばかりです。

今回の世界遺産への推薦はフランス政府が主体となってすすめているもので、世界中に点在する一人の建築家の作品群として、世界7カ国、全23作品まとめての推薦であり、ユネスコの世界遺産のなかでも初めての試みとなります。


推薦されるル・コルビュジエの作品リストは以下の通り。

アトリエ・住宅
1926 Maison Guiette, Anvers, Belgique
1926 Maison Cook, Boulogne-sur-Seine, France
個人住宅
1912 Maison Jeanneret-Perret, La Chaux-de-Fonds, Suisse
1916 Maison Schwob, La Chaux-de-Fonds, Suisse
1923 Maisons La Roche et Jeanneret, Paris, France
1923 Villa le Lac, Corseaux, Suisse
1928 Villa Savoye, Poissy, France
1949 Maison du Docteur Curutchet, La Plata, Argentine
1951 Maisons Jaoul –Neuilly-sur-Seine – France
標準化住宅
1924 Cité Frugès, Pessac, France
1927 Maisons du Weissenhof-Siedlung, Stuttgart, Allemagne
1951 Cabanon de Le Corbusier, Roquebrune-Cap-Martin, France
集合住宅
1929 Cité de refuge de l’Armée du Salut, Paris, France
1930 Immeuble Clarté, Genève, Suisse
1930 Pavillon Suisse à la Cité universitaire, Paris, France
1931 Immeuble Molitor / Appartement LC, Paris, France
1945 Unité d’habitation, Marseille, France
宗教建築
1950 Chapelle Notre-Dame-du-Haut, Ronchamp, France
1953 Couvent Sainte-Marie-de-la-Tourette, Eveux-sur-Arbresle, France
巨大プログラム
1946 Usine Claude et Duval, Saint-Dié, France
1957 Musée des beaux Arts de l’Occident, Tokyo, Japon
都市計画
1953-1965 Site de Firminy-Vert, Firminy, France
1950-1965 Chandigarh / plan, espaces publics, Capitole Chandigarh, Penjab, Inde


昨年の後半は、国立西洋美術館の文化財としての価値を明らかにするために、日本建築学会に結成された「国立西洋美術館 歴史調査WG」の一員として、僕自身もこの建築のための報告書作成に追われていたため、今回の決定は嬉しい限りです。



追記(2/5):
フランス政府が2月1日に、「ル・コルビュジエの建築と都市計画」とする世界文化遺産への推薦書をユネスコに提出しました。

上記リストのうち23作品目にあるインドのチャンディガールは、インド側の準備が間に合わず参加を見合わせたとのことで、結局、世界6カ国、22作品での推薦となりました。今年(2008年)の夏から秋にかけて国際記念物遺跡会議(ICOMOS)による現地調査があり、来年(2009年)の夏に開催される第33回世界遺産委員会において、世界遺産リストへの記載の可否が決定されることになります。

Posted at 01:37 午後    

土 - 6月 30, 2007

1周年





気がつけば、フランスから帰国して、まる1年がたちました。いま、一つ成果をまとめようとしているのですが、まとまる前に1年が経過してしまいました。




パリを離れて1年がたつというのに、その体験は薄れることなく、まるでパリに取り憑かれているような感覚です。いや、取り憑かれているというのはおかしな表現ですね。ここはやはり、偉大なる文学者ヘミングウェイの表現を借りるしかないでしょう。

“If you are lucky enough to have lived in Paris as a young man, then wherever you go for the rest of your life, it stays with you, for Paris is a moveable feast.”
Ernest Hemingway to a Friend, 1950.

いやはや、まさにその通りです。

Posted at 01:12 午後    

木 - 11月 9, 2006

ランプ・ピジョン (Lampe Pigeon)



Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

パリで購入したアンティークのランプに灯がともりました。19世紀末のフランスで一世を風靡した持ち運び可能な室内照明、「ランプ・ピジョン」です。


Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

フランスで石油ランプが登場したのは19世紀半ばのこと。なかでも1884年以降にシャルル・ピジョンという人物が製造した一連の石油ランプは、当時のフランスでこのタイプのランプの代名詞となったほど。初期のモデルはシンプルなシリンダー型のランプでしたが、その後バリエーション豊かなランプ・ピジョンが次々に発売されました。写真のモデルは1888年に「ルイ16世杯 (Coupe Louis XVI)」の名で登場し、1900年にその商品名が「ランプ・トリアノン」に変更された、数多くのランプ・ピジョンのなかでももっとも優美なデザインを誇るランプです。トリアノンといえば、ヴェルサイユ宮殿の中に立てられた美しい離宮の名前。


Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

ランプの上面には美しい字体で、これがランプ・ピジョンの石油ランプである旨が刻まれています。


Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

僕は、この美しい脚のデザインに一目惚れしてしまいました。きわめて建築的な装飾とフォルムです。


Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

100年も前のランプだというのに、灯心を新しいものに取り替え、ランプ用の灯油を入れたところ、柔らかく暖かみのある光を発してくれました。パリでこのランプを購入して以来、しばらくのあいだは単なるオブジェとして飾っていたのですが、ランプとしてもまだまだ活躍してくれそうです。

Posted at 10:26 午後    

金 - 10月 13, 2006

モロッコ風、夜カフェ



Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

モロッコ風ミントティーの楽しみは、明るい太陽の降り注ぐ週末の昼下がりばかりでなく、夜にこそ、その神髄があるようです。そういえばマラケシュに行ったとき、晩ご飯を食べに行った夜の屋台で「モロッコ風ウイスキーあるよ」と声をかけてくる彼らが手にしていたのは、やっぱりミントティーでした。


Pentax *istD + Flektogon 20mm/f2.8


我が家のベランダにアラビア風のランプを並べて、気分はNight in Marrakech。今の季節は、テラス席が気持ちいいですね。

Posted at 10:49 午後    

土 - 10月 7, 2006

モロッコ風ミントティー





Pentax *istD + Biotar 58mm/f2

ご無沙汰いたしております。およそ2ヶ月ぶりの更新です。ようやく日本での生活も落ち着いて、日々の生活にゆとりもできてきました。最近、凝っているのはモロッコ風ミントティー。


Pentax *istD + Biotar 58mm/f2

週末は、奥様お手製のデザートとミントティーで。本日のデザートはスコーンです。ミントティーとはミスマッチ?

Posted at 10:47 午後    

金 - 8月 4, 2006

フクシアの花





パリのアパルトマンのベランダでかわいがっていた フクシアの花。その一枝を切り取って連れ帰ってきたフクシアが、なんと花を付けました。2つの花が仲良く開花した様子はなかなか可愛らしいものです。




ところで、パリ最後の2ヶ月の"Life in Paris"も、ときどき遡って更新しているのですが、記事がどんどん下の方に埋もれてきてしまったので、このページの右上に「過去記事更新情報」を設けました。blog上の最新の記事が必ずしも最新の更新記事とは限らないということで、わかりにくくなっていますが、過去記事の方もよろしくお願いいたします。下にズズッとスクロールしていただければ、見覚えのない古い記事が現れると思います。

Posted at 11:31 午後    

火 - 7月 25, 2006

『レオナルド・ダ・ヴィンチが遺した宝物』





以前 にも「世界の研究室から」というページでお世話になった雑誌『日経サイエンス』 にて、書評を執筆させていただきました。




今回、ご紹介させていただいたのは『レオナルド・ダ・ヴィンチが遺した宝物』という本。有名なレオナルドの手稿や手紙のレプリカが、ページに貼りつけられた封筒やポケットの中に収められているという、遊び心に富んだレオナルドの入門書です。


Posted at 09:51 午前    

金 - 7月 7, 2006

ケルン大聖堂が世界遺産除名の危機



Pentax *istD + DA16-45mm

今朝の新聞に、ケルン大聖堂の世界遺産からの登録抹消が世界遺産委員会にて論議されようとしている、という記事が出ていました。記事によると、ライン川を挟んで大聖堂と向かい合う高さ100mを超える高層ビル4棟の計画が、景観的価値を損なうと判断されたため、とのこと。上の写真には写っていませんが、橋の右手が再開発計画地になっています。


Pentax *istD + DA16-45mm

計画されている4棟の高層ビルのうち1棟は、今年4月に完成したとのことですが、写真は昨年8月に撮影した建設途中のビル。


Pentax *istD + DA16-45mm

このことは、昨年ケルンを訪れた後に「アーヘン・ケルン・フォトギャラリー 」の中でも書いたのですが、鉄道でケルンに到着してもっとも驚いたのは、ケルンの中心駅と大聖堂とが隣接していることでした。写真では駅構内からガラス越しに大聖堂が見えています。フランスでは一般に大聖堂を中心とする旧市街(歴史的地区)と駅を中心とする新市街とは明確にゾーンが分けられているため、駅と大聖堂が隣接している例というのは見たことがありません。そのため、新市街の開発が進んでも旧市街の歴史的街並みは保存されるわけです。


Pentax *istD + DA16-45mm

13世紀に建設の始められたケルン大聖堂は1560年に工事が中断し、その後300年の時を経て1842年に工事が再開、1880年に完成したもの。おそらく鉄道の駅とライン川をまたぐ鉄橋(どちらも当時のものは現存せず)は、大聖堂と同じ時期に建設されたものだと思われます。ガラスと鉄骨が多用された鉄道駅は19世紀の産物であり、「19世紀の大聖堂」ともいわれますが、大聖堂と鉄道が隣接するこの配置はもしかするとケルン特有の現象だったのかもしれません。つまりどちらも19世紀におけるケルンの中心でありシンボルであったと考えられます。


Pentax *istD + DA16-45mm

その結果、ケルンの街は旧市街と新市街というゾーニングが行われることなく、大聖堂と鉄道駅を中心に歴史的街並みの中に近代的な建築が次々に建設されていくという虫食い的な発展を遂げていったのかもしれません。そのため僕個人としては、今回問題になっているライン川の反対河岸の再開発計画(写真)よりも、大聖堂のある左岸の街並みの方により大きな問題があるように感じられました。もっとも、ケルン大聖堂が世界遺産に登録された1996年には、左岸の歴史的街並みはとっくに危機的状況にあったわけですが。それに比べれば、反対河岸の右岸の開発による影響は少ないようにも思われます。


Pentax *istD + DA16-45mm

とはいえ、今回の再開発計画が4塔の高層ビル建設であるという点は、やはり大きな問題といわざるを得ないでしょう。今日の1枚目の写真を見ていただいてもわかるように、ヨーロッパの歴史的都市において、そのスカイラインを決定づけるのはゴシック教会堂を中心とする歴史的建造物です。また、この写真はパリのオペラ座を撮ったものですが、高さ制限のかけられたパリの街並みの中で飛び抜けて大きいのはオペラ座のような歴史的な建築ということになるわけです。オペラ座の隣に高層ビルが建ってしまっては、間違いなくパリの景観は崩壊してしまうでしょう。


Pentax *istD + DA16-45mm

同じく写真はパリの街並みを屋根の上から眺めたものですが、左手の大屋根はマドレーヌ寺院、中央は言わずとしれたエッフェル塔、その足下にあるのが1900年のパリ万博会場となったグラン・パレで、こうしたモニュメントがパリのスカイラインを決定づけているのがよくわかると思います。実は、写真左奥にはパリ15区のセーヌ川沿いで1970年代に建設された高層ビル群が小さく見えています。これはル・コルビュジエの「300万人の現代都市」的な都市計画に基づいたプロジェクトでしたが、結局こうした都市計画がパリの中心部を変貌させなかったのは、世界中の人々にとって幸運だったと言わざるをえません。ケルン市当局にも、今回の通告を重く受け止めて理性的な対応をして欲しいと望みます。

Posted at 01:19 午後    
















































































































































































































































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