フランス国立図書館(BNF)のシステム




今週になって国立図書館の夏休みも明け、ここでの資料調査ができるようになりました。今日は国立図書館のシステムをご紹介します。

数年前、正確には1999年の秋に僕が初めてここに来たとき、この建築よりも図書館のシステムに驚かされました。この図書館の閲覧室は写真の中庭に面して上階が一般用開架図書館、下階が研究者用閉架図書館となっています。研究者ゾーンに入るためには研究者用の磁気カードを作ってもらわなければなりません。地下に下りるエスカレーターの前には地下鉄自動改札のようなターンスタイルと頑丈な金属の扉があり、ここにカードを通して進みます。地下に下りると再び金属の扉と自動改札があって、これを通過してようやく図書館に入るのですが、中に入る前に自動改札の横に設置されたコンピュータの端末で、今日、自分が使う席を予約しなければなりません。ここで、たとえばLの部屋の59の席を予約するとL59が自分専用の席ということになります。これを済ませてからでないと、自動改札を通過することができません。

中に入ってL59の席に行くと、赤いダイオードランプが点灯しています。これが予約済みの合図です。赤いランプの隣には緑色のランプがありますが、これはまだ消えています。

次に、閲覧室に設置されたパソコンの前に行ってドライブに自分の磁気カードを差し込みます。この状態で自分が必要な本を検索して予約すると、「L59のKoichi KATOがこの本を予約した」ということが伝達されます。あとは、自分の席に戻ってしばらく待っていると、ふと気づくと机の上の緑のダイオードランプが点滅しています。そこでカードを持ってカウンターに行くと、先ほど予約した本が届いているというシステムになっているわけです。

ただ、予約から本が届くまでに結構時間がかかるんですね。例の高層棟の書庫から本が届けられるまでにそれだけ時間がかかるわけです。翌日の分や数日後の分も、座席と本を予約することができるのですが、そうスケジュール通りに資料調査が進むわけもありません。天気がいいと観光したくなるし。

さて、前置きが長くなりましたが、ここまでは1999年の話。今はちょっとだけ改善されました。今は、インターネット経由で座席の予約、本の予約などができるようになりました。前の日の晩に、家で読んでいた本に面白そうな参考文献が出ていたとき、インターネットで予約しておけば、次の日には(あまり)待たされることもなく、その本を読むことができるわけです。フランスのADSLは未だ512Kが主流で、1Mは贅沢な存在、最近ようやく2Mの宣伝が出始めているレベルで、日本の回線競争には比べるべくもありませんが、ソフト面は国家が頑張っている印象があります。国立図書館にしてもフランス文化省のデータベースにしても、地道な作業を頑張ってやっていますね。

ちなみに5年前には実は、BNFのホームページこそ存在していたものの、文献検索はtelnetでしかできませんでした。Macの世界で生きている僕にとって、telnetなんていう言葉は森博嗣の小説の中でしか出てこないものだったのですが、小学校1年生以来の友人、坂井君にMacでtelnetを使う方法を教えてもらい、なんとか検索をかけていました。telnetなんてあれ以来1度も使ったことがありませんが。

Posted: 木 - 9月 23, 2004 at 06:54 午前          


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