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白鳥の湖
今年も何度かオペラ座でオペラやバレエを観ましたが、1年の締めくくりはバレエの王様(?)「白鳥の湖」。ですが正直言って、日本にいた頃にはバレエを観たこともないくせに、漠然と恥ずかしいものという印象を抱き続けていました。なかでもこの「白鳥の湖」は「恥ずかしい」バレエの代表格という先入観を持っていたもの。
ですがパリに来て、オペラ座で色々なバレエを観るようになって、変な色眼鏡をはずしてバレエを観ることができるようになりました。オペラの場合、イタリア・オペラにせよドイツ・オペラにせよ、その歌詞は電光掲示板に表示されるフランス語字幕で見ることになり、アーティストの歌がストレートに理解できるわけではありません。それに比べてバレエは肉体的な動作だけで100%表現されるので、こちらの方がアーティストの表現をダイレクトに受け止められるという点で優れているような気すらもしてしまいます。
というわけで、にわかバレエ・ファンとなった僕は、特にルドルフ・ヌレエフに演出されたバレエが好きで、この「白鳥の湖」もヌレエフ版だということで楽しみにしていたわけです。
風邪で体調が悪かったこともあり、正直言って第1幕はちょっと退屈気味。ところが第2幕で白鳥のオデットが登場すると、風邪のことなど忘れて舞台に目を奪われ続けました。この日、オデットを演じたのはロシアのボリショイ・バレエ団からの客演、スヴェトラーナ・ザハーロワ(Svetolana Zakharova)。人間離れしたその演技は、本物の白鳥以上の優美さを備え、「白鳥の湖」像を根底から覆された思いです。パリ・オペラ座バレエ団の人たちのダンスも言うまでもなく素晴らしく、単なる様式美でしかないと思っていた「チュチュ」というコスチュームが、本物の白鳥に見えてくるのが不思議なところ。彼女たちは「白鳥の湖」というスタイルをなぞっているのではなく、「白鳥」を演じているんだな、と深く感じ入りました。
Posted: 水 - 12月 28, 2005 at 07:09 午前
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