金 - 5月 5, 2006

オペラ『プラテ』を見に行ってガルニエを堪能する





今回はちょっと変わり種のオペラを見に、オペラ・ガルニエへ。演目はジャン=フィリップ・ラモーの『プラテ』です。すると驚いたことに、ホワイエ空間がなんともゴージャスなレストランに変身していました。詳細は不明ですが、各テーブルには企業の名前などが書かれたカードが置かれてており、招待客の皆さんがオペラ閉幕後にこちらでお食事するようです。なんとも羨ましいイベントです・・・




こちらはオペラ座劇場内の大シャンデリアを真横から見たもの。下から見上げたときとはずいぶん印象が違います。それにしても、この驚くほど細かい装飾には、見れば見るほど圧倒されてしまいます。




さて、オペラ『プラテ』は、カエルの着ぐるみの登場人物たちが歌って踊る、子供の学芸会のようなかわいらしい雰囲気の漂う作品でした。醜いカエルなのに自分のことを魅力的だと思っている主人公プラテ(女性)を、ピンクのスカートをはいた男性が演じていますが、彼の演技が秀逸でした。歌の中で何度も出てくる「Quoi?! Quoi?! Quoi?! Quoi?!」というリフレインが、カエルの鳴き声とのダブルミーニングになっていて、フランスのカエルも「クワッ、クワッ」と鳴くんだ、というのはちょっと楽しい発見。ちなみに"Quoi?"は英語の"What?"に対応していて、周りから馬鹿にされたり自分の思ったとおりに事が運ばなかったときに、プラテが「クワッ?!クワッ?!」と鳴きながら地団駄を踏んで悔しがる演技は最高でした。




実はたいして期待していないで見に行ったのですが、予想以上に楽しい舞台でした。ところで、このカーテンコールはすでに夜の11時近く。オペラ座特設ゴージャスレストランでは、この後で、ご招待の皆さんの会食が始まったようです。

Posted at 12:59 午前    

金 - 3月 3, 2006

ラ・バヤデール



Pentax *istD + DA16-45mm

バレエ「ラ・バヤデール」に行ってきました。いつもすばらしい舞台装飾で圧倒してくれるヌレエフ版です。


Pentax *istD + DA16-45mm

物語の舞台はインドということで、どこかイスラム的な建築セットをバックに、象まで登場するサービス精神に溢れた演出。


Pentax *istD + DA16-45mm

ダンサーたちの演技もすばらしく、拍手の鳴りやまないカーテンコールのなか、舞台袖から突然マイクを持った男女が登場。そして主演男優(Solor役)のHervé Moreauが“étoile”にノミネートされたことが発表されました。写真は、Moreauが喜びいっぱいに観客たちに謝意を表しているところ。premier danseurからétoileへの昇格はオペラ座バレエ団の最高位への栄進で、言うなれば大関から横綱への昇進のようなもの(イメージのずれが大きいですが・・・)。今日の素晴らしい舞台の結果、そのカーテンコールの最中にその朗報が発表されるというのは、演じ手にとっても観客にとっても、驚きと感動が共有される最高の演出でした。彼の喜びがこちらにも伝わってきて、オペラ座の観客全体が感動を分かち合った気分。横綱審議委員会も時には、たとえば素晴らしい相撲で千秋楽を飾った横綱候補に対して、その場で横綱昇進を伝えるような粋な計らいをしてくれたら、おもしろいんじゃないかな。

Posted at 08:55 午後    

木 - 2月 16, 2006

Juliette ou la clé des songes



Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

ボフスラフ・マルティヌーのオペラ『ジュリエットまたは夢』を見てきました。同じ原作から『天井桟敷の人々』で有名な映画監督マルセル・カルネが『愛人ジュリエット』として映画化もしているそうですが、とにかく幻想的な物語でストーリーが難解です。ただ演出が良かったので、全体の雰囲気を楽しんできました。1枚目の写真は、一番右のスポットライトを浴びている男性(主人公)が寝返りを打ってアルファベットの「E」の形になると、Julietteのスペルになります。もじもじ君ですね・・・


Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

舞台セットは、アコーディオンがキーとなっています。1幕目ではアコーディオンを正面から見たかたち。アコーディオンの側面がアパートのファサードになっていて、2階の窓から男がのぞいていたりします。


Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

2幕目では舞台が始まる前から、アコーディオンがステージに置かれていました。


Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

2幕目は幕が上がるのではなく、アコーディオンが伸び上がるところからスタート。物語はアコーディオンの中で展開していきます。


Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

3幕目はアコーディオンの正面で、物語が進行。こうやって説明していると、よけいに訳がわからなくなりそうです・・・ふと思ったのですが、タイトルの「夢の鍵」の「鍵」とは「鍵盤」のことなのでは?

Posted at 09:32 午後    

火 - 1月 31, 2006

ニーベルンゲンの指輪



Pentax *istD + DA16-45mm

ついに行ってきました、ワーグナーの大作『ニーベルンゲンの指輪』。といっても、噂に聞く恐るべき長丁場のオペラだけあって公演回数も少なく、チケットがとれたのは第3部の「ジークフリート」だけでした。会場は昨年12月にバレエ『クルミ割り人形』を見たシャトレ劇場。


Pentax *istD + DA16-45mm

6時という夕方の早い時間に開演したため、会場入りしたときには空もまだ明るく、シャトレ劇場から対面する市立劇場もよく見えました。前回の記事 では「2つの同じデザインの劇場」と書きましたが、よく見ると細部のデザインはいろいろと違うところも多いようです。


Pentax *istD + DA16-45mm

シンプルな舞台、シンプルな衣装と対照的なワグナーの豪奢な音楽を、おなかいっぱい満喫した夜でした。終わってみればカーテンコールは深夜12時。長い休憩を挟んだとはいえ6時間に及ぶオペラ鑑賞も、これまた初めての経験。

Posted at 07:05 午後    

水 - 12月 28, 2005

白鳥の湖





今年も何度かオペラ座でオペラやバレエを観ましたが、1年の締めくくりはバレエの王様(?)「白鳥の湖」。ですが正直言って、日本にいた頃にはバレエを観たこともないくせに、漠然と恥ずかしいものという印象を抱き続けていました。なかでもこの「白鳥の湖」は「恥ずかしい」バレエの代表格という先入観を持っていたもの。




ですがパリに来て、オペラ座で色々なバレエを観るようになって、変な色眼鏡をはずしてバレエを観ることができるようになりました。オペラの場合、イタリア・オペラにせよドイツ・オペラにせよ、その歌詞は電光掲示板に表示されるフランス語字幕で見ることになり、アーティストの歌がストレートに理解できるわけではありません。それに比べてバレエは肉体的な動作だけで100%表現されるので、こちらの方がアーティストの表現をダイレクトに受け止められるという点で優れているような気すらもしてしまいます。
というわけで、にわかバレエ・ファンとなった僕は、特にルドルフ・ヌレエフに演出されたバレエが好きで、この「白鳥の湖」もヌレエフ版だということで楽しみにしていたわけです。




風邪で体調が悪かったこともあり、正直言って第1幕はちょっと退屈気味。ところが第2幕で白鳥のオデットが登場すると、風邪のことなど忘れて舞台に目を奪われ続けました。この日、オデットを演じたのはロシアのボリショイ・バレエ団からの客演、スヴェトラーナ・ザハーロワ(Svetolana Zakharova)。人間離れしたその演技は、本物の白鳥以上の優美さを備え、「白鳥の湖」像を根底から覆された思いです。パリ・オペラ座バレエ団の人たちのダンスも言うまでもなく素晴らしく、単なる様式美でしかないと思っていた「チュチュ」というコスチュームが、本物の白鳥に見えてくるのが不思議なところ。彼女たちは「白鳥の湖」というスタイルをなぞっているのではなく、「白鳥」を演じているんだな、と深く感じ入りました。

Posted at 07:09 午前    

火 - 12月 6, 2005

クルミ割り人形





これまでオペラやバレエはオペラ座(ガルニエまたはバスティーユ)で見ていましたが、初めてシャトレ劇場にてバレエ「クルミわり人形」を見てきました。演じるのはもちろんオペラ座のバレエ団ではなく、ロシアのサンクト=ペテルブルクのバレエ団。チャイコフスキーの音楽は盛りだくさんのメロディーで楽しませてくれます。プロコフィエフといいチャイコフスキーといい、ロシアの作曲家の音楽は、まるで映画音楽のように舞台を盛り上げるツボを心得ているように感じます。




今回初めて訪れたシャトレ劇場(Théâtre musical de Paris Châtelet)は、シャトレ広場を挟んでパリ市立劇場(Théâtre de la Ville)と向かい合う、2つの同じデザインの劇場の1つになります。写真はシャトレ劇場の屋上テラスからシャトレ広場と市立劇場を見たところ。中央の円柱は広場の中心に位置する泉の装飾です。建築家Gabriel DAVIOUDによる1860-62年の作品。きわめて計画的な2つの劇場の配置は、かのパリ県知事オスマン男爵の都市計画の一環です。




オスマン時代の都市計画的な配置を持つ劇場といえば、もちろんCharles GARNIERのオペラ座がまず思い出されるわけですが、シャトレ劇場と市立劇場もオペラ座と同じ時代の建築になるわけです。ちなみにガルニエのコンペ案が1位に選ばれたのが1860年、オペラ座の建設は1862年〜75年にかけてですので、建築としてはシャトレの2つの劇場の方が古いということになります。




さすがに大階段やフォワイエについてはオペラ座の豪華絢爛さには比べるべくもありませんでしたが、ホールのインテリアはオペラ座にもひけをとらない煌びやかさで、なかなか楽しませてくれました。平面的にはそれほど広くありませんが、客席が高く積層するため、底の深いホールとなるのが特徴のようです。

Posted at 05:39 午前    

水 - 11月 2, 2005

オペラ「ラ・ボエーム」



Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

万聖節の祝日だった昨夜は、プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」を見に行ってきました。ボヘミアンたちが活躍する19世紀のパリ。W・ベンヤミンがしばしば言及する「遊歩者」(flâneur)とともに、「ボヘミアン」(la Bohème)と呼ばれる人々は、僕にとって19世紀のパリを彩る、不思議な憧れの感情を喚起する存在です。写真は第1幕の、ボヘミアンたちが共同生活をする屋根裏部屋。第4幕は再びこの屋根裏部屋に戻ってくるのですが、第1幕では窓から差し込む月明かりが、第4幕では同じく夕日が、それぞれのシーンを特徴づけていました。


Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

第2幕、カルティエ・ラタンのCafé Momusでのシーン。想像以上に地味で慎ましい生活が描かれていたボエームのなかで、もっとも華やかで心躍る幕でした。左手にカフェのカウンターがあってその奥にも客がひしめき合っていたり、舞台手前のカフェの前面の道路を子供たちが歌いながら駆け抜けていったり、最後にはカフェの奥にあるガラスの向こう側を鼓笛隊が行進していったりと、舞台の奥行きをフルに生かした演出が秀逸でした。


Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

第3幕のダンフェール門近くのシーン。門はやたらと小さいですが、左側のY字路の狭間に立つカフェが、ここでも空間の奥行きを作り出していました。うっすらと雪の降り積もるパリの街角。今度の冬はこんな写真を撮ってみたいという気にさせられます。

Posted at 09:40 午後    

土 - 7月 23, 2005

チョコレート工場



Pentax *istD + DA16-45mm

同じような写真が続いていて興味のない方には飽き飽きかもしれませんが、今日で最後ですのでおつきあいください。ようやくロンシャンの礼拝堂の写真をまとめてアップしました。上の写真からリンク先に飛べます。ちなみに礼拝堂の中に入る扉はこの写真に写っている2つの塔の間の下の方にあります。リンク先のフォトギャラリーの方で、ぜひ入口を探してみてください。フランス語で「あなたは鍵を持っていますか?」と聞かれます。正直にお答えいただければ・・・

【追記】答えはごくシンプルです。質問がフランス語なので解答もフランス語で。アルファベット3文字です。


Pentax *istD + Tessar 50mm/f2.8

ところで土曜日の今日は映画を見てきました。ティム・バートンの「チャーリーとチョコレート工場」。原作は1964年出版の児童文学だそうです(ロアルド・ダール『チョコレート工場の秘密』)。それにしてもこの変人の工場長を演じられるジョニー・デップの演技力にも脱帽しました。

Posted at 07:48 午前    

日 - 6月 26, 2005

fête du cinéma



Pentax *istD + Tessar 50mm/f2.8

6/26-28の3日間は映画祭(fête du cinéma)開催。この期間中に映画を1本見るとパスポートをもらえ、その後は期間内に限り映画1本2ユーロで見ることができるようになります。写真は例によって国立図書館脇の、MK2 bibliothèqueのカフェにて。


Pentax *istD + Tessar 50mm/f2.8

日曜日の朝10時頃からスタートして夜7時まで続けて3本も見てしまいました。視神経が疲労困憊。終わった後は激しい頭痛に襲われました。ちなみに見たのは"Batman Begins"、"Sin City"、"Les poupées russes"の3本。アメリカン・コミックがもとになっている前2作に比べて最後のフランス映画の方が素直に楽しめたというのは、フランスに染まってきたと言うことでしょうか。


Pentax *istD + Tessar 50mm/f2.8

ちなみに"Les poupées russes"は、日本でも一部で人気のあった「スパニッシュ・アパートメント(L'auberge espagnole)」の続編。主演のロマン・デュリスは昨年「アルセーヌ・ルパン」でも見ましたが、やはりセドリック・クラピッシュの描くロマン・デュリスの方が魅力が引き出されている感じがします。三谷幸喜が描く西村雅彦のように(?)。三谷さんの場合はここまで女たらしには描かないと思いますが、そこはフランスと日本の差ということでしょうか。

Posted at 06:31 午後    

木 - 6月 2, 2005

ピナ・バウシュ



Pentax *istD + DA16-45mm

ピナ・バウシュの「オルフェオとエウリディーチェ」に行ってきました。今回も会場はオペラ・ガルニエ。写真はオペラ座の大シャンデリアです。


Pentax *istD + DA16-45mm

シャンデリアが吊された天井にはシャガールの天井画が描かれているというのも有名です。


Pentax *istD + DA16-45mm

「オルフェオとエウリディーチェ」は、よく知らなかったのですが、ピナ・バウシュの《ダンス・オペラ》という位置づけになるようで、3人の主要登場人物それぞれをダンサーとボーカリストが一人ずつ演じるというスタイル。つまり6人で3人を演じるということになります。身体表現のみで物語を演じきるのかと思っていたので、ちょっと意外でした。個人的には第2幕の"Violence"という場面が、演出の面でも演技の面でも圧巻でした。

Posted at 09:48 午後    





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