サン=シュルピス教会堂



Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

恥ずかしながら『ダ・ヴィンチ・コード』を読むまで、サン=シュルピス教会堂のなかに子午線を表す(?)線とオベリスクとが設置されているということは知りませんでした。これまでにも何度もサン=シュルピスには訪れていますが、ここは僕が専門とするゴシック建築ではなく、パリにおける新古典主義建築の草分け的な存在。13世紀のものと考えられる教会堂が建っていたところに、現在の建築の建設が始まったのはルイ14世の時代。ファサードはコンペに勝ったセルヴァンドーニというフィレンツェの建築家が18世紀半ばにデザインしたもので、このなんとも奇妙なプロポーションのファサードは、一度見れば忘れられないほど印象的なものです。残念ながら現在、片方の塔が修復中のため、いい写真がありません。


Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

2006年には映画化されるという『ダ・ヴィンチ・コード』のために、ルーヴル美術館は撮影を許可したという話ですが、パリにおけるもう一つの重要な舞台であるここサン=シュルピス教会堂は、おそらく撮影を許可することはできないでしょう。パリを訪れる『ダ・ヴィンチ・コード』フリークたちは、本を片手にルーヴルとサン=シュルピスを見学に来るらしいですが、サン=シュルピス教会では、かのベストセラーに書かれていることは真実ではないと宣言しています。


Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

小説中で「ローズ・ライン」と語られる南北軸が、床に描かれているこの金色の線。このラインの先には写真の奥に写っているオベリスクが建っています。これは1743年に天文学者ル=モニエによって設置されたもので、正午に南中する太陽の光の落ちる位置を示しているものだそうです。




オベリスクの立っているのとは反対側の袖廊の窓には、oeilleton(のぞき穴)が仕込まれていて、そこを通った光が床に光の円盤を映し出すとのこと(ちなみに下に写っている丸窓ではなく、上の半円アーチの窓の一部に仕込まれているようです。黒くなっているところはガラスが割れているだけで関係ありません。)。南中高度の最も高い夏至の日には今日の写真2枚目にある四角い石碑の上に円盤が映し出され、南中高度の最も低い冬至の日にはオベリスクの上に円盤が映し出されることになるそうです。


Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

そして、教会にとって重要なのは昼と夜の長さが等しくなるequinoxe(春分と秋分)の日。キリスト教では、春分の日が過ぎた後の最初の満月の日の次の日曜日が、キリストの復活祭(イースター)という重要な祝日となります。このequinoxeの日には、教会堂の交差部中央あたりに描かれた金色の円盤(写真)に光が一致することになるようです。これはぜひ、一度見てみたいところ。ちなみに今日は復活祭から40日目にあたる昇天祭でした。やけに休みの店が多いな〜と思っていたら祝日だったというわけです。

フォトギャラリー の方には、この話とは関係のない、サン=シュルピス教会堂内の綺麗なランプの写真を載せました。こちらもよろしければご覧ください。

Posted: 金 - 5月 6, 2005 at 05:57 午前          


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