モンマルトル



Pentax *istD + DA16-45mm

モンマルトルの丘に登るときには、ここアベス駅から歩いていくのがお勧めです。ガラス屋根のついたタイプのメトロの入口は、ギマールがデザインしたものとしては、このアベス駅とポルト・ドーフィーヌ駅がありますが、ここアベス広場には初の本格的な鉄筋コンクリート造による教会建築サン=ジャン・ド・モンマルトルもあり、19世紀末の新しい構造形式の建築を同時に見ることができます。


Pentax *istD + DA16-45mm

モンマルトルの斜面では、石畳の狭い道に面して建物が建て込んでいて、縦に細長い隙間とアップダウンによって、垂直性が強調された不思議な都市空間が生み出されています。


Pentax *istD + DA16-45mm

モンマルトルは「Mont + martre(martyre=殉教が語源)」という名の通り、パリにキリスト教を伝道した聖ドニが、異教徒によって殺害された丘とされています。伝説によれば、聖ドニはこの地で斬首されると自分の首を持って北に向かって歩いて行ったと言われ、行き着いた場所に建てられたのがゴシック誕生の教会堂サン=ドニということになります。
(もちろん、聖ドニの伝説と、ゴシック様式誕生とはまったく別の時代です。聖ドニのエピソードは紀元3世紀。そこに建てられた教会堂が再建されゴシック様式に生まれ変わったのは12世紀のことです。)


Pentax *istD + DA16-45mm

しかし当然ながら、この聖人が殉教した地であるモンマルトルにも聖ドニに捧げられた教会が存在したようです。白亜のドームで有名なサクレ・クールの裏手にあるため、観光客の姿はあまり目にしませんが、現在はサン=ピエール・ド・モンマルトルという名の教会堂になっているのがそれです。現存するサン=ピエール・ド・モンマルトルは12世紀に建設されたもので、同じくパリにあるサン=マルタン=デ=シャンと並んで、ゴシック誕生前夜の建築として僕の研究にとってはきわめて重要な存在なのです。今日はここで調査をしてきました。


Pentax *istD + DA16-45mm

少し発見もあり、満足して帰路につきました。モンマルトルは北側斜面にブドウ畑が残るなど自然も多く、秋を強く感じます。


Pentax *istD + DA16-45mm

こちらはモンマルトル名物の風車。この風車はそれほど古いものではないようですが、この向こうにルノワールが描いたムーラン・ド・ラ・ギャレットもあります。そちらは17世紀までさかのぼるそうです。


Pentax *istD + DA16-45mm

モンマルトルで風車といえば、このムーラン・ルージュが有名ですが、19世紀後半にパリ市に組み込まれる以前はモンマルトルはたくさんの風車が立ち並ぶ田園風景だったようです。


Pentax *istD + DA16-45mm

最後は、『アメリ』の撮影現場となったカフェで一休み。別段どうということもないカフェですが、さすがにお客は多いです。インテリアのいい写真が撮れなかったため、映画の雰囲気はまったくありませんが・・・

Posted: 金 - 10月 29, 2004 at 06:40 午前          


©