夏至@サン=シュルピス



Pentax *istD + DA16-45mm

太陽の南中高度が一年でもっとも高くなる夏至の日、サン=シュルピス教会堂の日時計が本当に正しく作動するのるかどうか確認に行ってきました。サン=シュルピスの日時計については、こちら をご覧ください。


Pentax *istD + DA16-45mm

昼の12時に教会堂に駆け込んだものの、どこにも光が落ちてきません。太陽が雲に隠れてしまったかと思い、いったん外に出ると真夏のような太陽が照りつけています。ただ、太陽が真南よりも少し東にいることに気づきました。それじゃあ正しく光が差し込むはずがないじゃないか!と考え、ようやく気がつきました。今はサマータイム。サマータイムは本来の太陽の動きを基準とした時間よりも時計の針を1時間進めているわけで、本当の正午は午後1時にやって来るというわけです。写真は、1時になるのを待つ人々。正午1時になると、床の中央付近にある正方形パネルの上に太陽の光が差し込んでくるはずです。


Pentax *istD + DA16-45mm

1時が近くなると、待っている人々もそわそわとデジカメの電源を入れたり時計の針を見たりと落ち着かない様子になってきました。ところが1時になっても何も起こりません。と、一人の男性が立ち上がってにっこり笑うと、正方形のパネルから1メートルばかり離れたところに手をかざして、周囲の人々に光が差し込んできていることを示しました。写真で、茶色いズボンの男性の、右足のつま先付近に光が当たっています。


Pentax *istD + DA16-45mm

1時に正方形パネルの中央に、光がパッと差し込んでくれば拍手でも起こりそうな期待が渦巻いていたのに、微妙に拍子抜けです。1時10分現在、光はパネルの左肩付近まで近づいてきました。皆さん、原因を議論しているのかと思いきや、意外と何もわかっていないで見ていた人もけっこういたようで、にわか講演会のような様相を呈してきました。


Pentax *istD + DA16-45mm

1時15分過ぎあたりにようやく光が、中央の金色の直線上に乗りました。誤差の原因は、サン=シュルピス教会堂がパリの子午線からわずかにずれていることにあると思われます。ちなみにモンパルナスのパリ天文台は、正確に子午線の上に乗っているそうです。

パリの教会堂では、このサン=シュルピス以外にも、旧サン=マルタン=デ=シャン (現国立工芸技術博物館)の教会堂内のフーコーの振り子、同じくパンテオン (旧サント=ジュヌヴィエーヴ教会堂)内のフーコーの振り子など、地球の自転・公転を示す科学的実験装置ともいうべきものが色々と設置されています。サン=シュルピスにこの日時計(地球の公転を示す)が設置されたのが1743年。フーコーの振り子(地球の自転を示す)の実験がなされたのが1851年。一方でガリレオ・ガリレイが教会の裁判によって自らの地動説を封印した(「それでも地球は動いている」)のが1633年のことですから、科学史の発展とキリスト教会の関係というのも、興味が尽きません。

Posted: 水 - 6月 22, 2005 at 04:53 午前          


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