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冬のサーカス(Cirque d'hiver)
Pentax *istD + DA16-45mm
日曜の夜、サーカスを見てきました。ここCirque d'hiver(冬のサーカス)は、冬でもサーカスができるようにと作られた仮設ではないサーカス専用の建築です。パリの北駅を設計した建築家J・I・イットルフが1851年に設計したもの。正20角形の平面を持つため、円形のドーム建築に近い印象です。北駅が1865年の作品ですから、シルク・ディヴェール(Cirque d'hiver)はそれより前の作品ということになります。
Pentax *istD + DA16-45mm
正20角形の頂点部分には、このようなコリント式のオーダーが配されています。注目すべきは円柱の裏を通してめぐらされている、レリーフ帯の部分でしょう。イットルフといえば、それまで純白の大理石のイメージが強かったギリシア建築が、実はカラフルな色彩で彩られていたという多色彩(ポリクロミー)の発見(1830年)で知られていますが、ここではそれを実践するかのようにレリーフの地の部分を赤い色で装飾しています。
ところで古代ギリシアの神殿建築では、このような浮き彫り彫刻は円柱の上に渡される梁の部分(エンタブラチャー)を飾るもので、この建築のように円柱の半ばの高さを飾るというのは、まったくおかしな配置です。一方で、自ら発見した考古学的に裏打ちされたポリクロミーを実践しつつ、その配置をずらしていくというところに、イットルフの建築のオリジナリティーがあるのかもしれません。
Pentax *istD + DA16-45mm
サーカスの内部は写真のような円形劇場型となっています。
Pentax *istD + DA16-45mm
周囲には円柱が並べられ、天井の構造を支えています。
Pentax *istD + DA16-45mm
中央のアリーナを見下ろす正面ステージは、オーケストラボックスのような役割で、ここで演奏されるバンドの生演奏をBGMにサーカスが繰り広げられていました。赤や青のビロードのカーテン、天井のシャンデリアなどインテリアの装飾に、どの程度19世紀のスタイルが残されているかは定かではありませんが、これぞ19世紀末のアール・ヌーヴォーを生み出した世紀末パリの美意識ではないかと勝手に解釈してサーカス鑑賞してきました。
Pentax *istD + DA16-45mm
サーカスには象も登場。
Pentax *istD + DA16-45mm
空中ブランコもあり。
Pentax *istD + DA16-45mm
これが、今回の目玉の空中ブランコと水中のダンスを融合したショーでした。
Posted: 火 - 12月 7, 2004 at 05:47 午前
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