文化財の日2005(journée du patrimoine 2005)



Pentax *istD + DA16-45mm

1年ぶりの文化財の日(journée du patrimoine)。最近、アンリ・ラブルーストの建築を重点的に調べている僕としては願ってもない機会というわけで、昨年に続いて またもラブルーストのサント=ジュヌヴィエーヴ図書館(写真左)と旧国立図書館(写真右)とを見学してきました。他に、パンテオン、ソルボンヌ大学、商業取引所などにも行ってきましたので、機会があればそちらの写真もご紹介します。


Pentax *istD + DA16-45mm

ところで、昨年も気になっていた 緑色の乳白ガラス(opaline)が美しいこのランプ。まだちゃんと調べていないのですが、どうやらオリジナルなのではないかという気がしています。写真のサント=ジュヌヴィエーヴ図書館は、パリで最初の純粋な図書館建築であると同時に、ガス灯で照明された図書館でもあるという記述があり、どうやらこれがそのガス灯なのでは、と思われます。もちろん現在はガスから電気に代わり、電球型蛍光灯が嵌め込まれていました。


Pentax *istD + DA16-45mm

テーブルの裏を見ると、卓上に並べられたランプにガスを供給するためのガス管床下から延びてきているのが見られます。現在はこのガス管の中に電気コードを通しているようですが、おそらく当初はガスが送られていたのではないかと思われます。一方、旧国立図書館の方はガスの使用が禁止されていたらしいので、最初から電気のランプが使われたのかもしれません。いずれにしても、今のところ単なる仮説に過ぎないので、確認のためには何かちゃんとした一次史料を探すしかなさそうです。

街灯におけるガスと電気の使用に関するベンヤミンの記述。

1824年に関する注釈。「今年パリは、11,205基のガス灯で照らし出された。……請負業者は街中の照明作業を遅くとも40分ですませなければならない。つまり、毎日の規定時刻より20分前に点灯を始めて、20分後に終わらせねばならない。一人の点灯夫に、25以上のガス灯を任せられないからだ。」デュロール『1821年から今日までのパリの〈自然、市民、精神の〉歴史』パリ、〈1835年〉、pp.118-119  〔T1,2〕

1857年に電気によるガス灯が初めてできた(ルーヴル宮の近くで)。  〔T1,4〕

(いずれも、W・ベンヤミン『パサージュ論』今村仁司・三島憲一ほか訳、岩波現代文庫より)


ちなみにサント=ジュヌヴィエーヴ図書館の一般公開は1851年。旧国立図書館は1868年。


追記:
ごく簡単なことを見落としていました。サント=ジュヌヴィエーヴ図書館の竣工時の平面図に示された当時のテーブルの配置と現在のテーブルの配置は異なっていたのです。調べてみると1930年に収容人数を400人から700人に増やす大改装があったとのこと。このときにテーブルは新しいものに取り替えられているはずです。椅子はオリジナルも多数残っているとのこと。1930年以前に図書館内部を撮影した写真を探したところ、白黒写真なので詳細はわかりませんが、おそらく現在のものとよく似た乳白ガラスのランプシェードが使われているようですが、現在のものほど丸みを帯びていないフォルムに見えます。何よりも、数が少ない!
というわけで、どうやらこのランプ、1930年の大改装のときに設置されたもののようです。

Posted: 日 - 9月 18, 2005 at 06:46 午後          


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