ヴィアデュク・デ・ザール



Pentax *istD + DA16-45mm

早朝、リヨン駅まで人を見送りに行った後で、その近くのヴィアデュク・デ・ザールを写真に撮ってきました。ここは、かつてパリの東側から現在のオペラ・バスチーユの裏手まで引き込まれていた鉄道の高架線路跡で、いまは廃線となっているところ。現在は、アーチの中に店舗やギャラリーなどが入っています。古い建造物の保存・再生の好例としてしばしば言及され、有名なところです。


Pentax *istD + DA16-45mm

高架の上、かつては線路が敷かれていたところはアスファルトで舗装され遊歩道となっています。たくさんの植物が植えられ、快適な散歩道。全長4.5kmというこの緑道は、建築家Philippe MathieuxとJacques Vergeleyによって、1990〜98年にかけて整備されたもの。


Pentax *istD + DA16-45mm

高架が道路をまたいでいる鉄橋部分は、写真のようにウッド・デッキとなります。


Pentax *istD + DA16-45mm

アーチのデザインと煉瓦のテクスチャーが、東京でいえば新橋〜有楽町あたりの高架下を思い起こさせますが、東京の暗く雑然としたいわゆる〈アジア的〉な雰囲気(それはそれで魅力的な部分でもありますが)と、パリの明るいこの空間との違いはいったいなんなんでしょう。
まず圧倒的な違いは、高架の南側に広がるプラタナスの並木も美しい歩道。10mにも及ぼうかという広々とした歩道と、さらに広い車道(写真1枚目参照)があるため、高架下の閉塞感はほとんどありません。さらに空を見上げるとプラタナスの葉と遊歩道の植物とが緑の天井を作り出している感じ。上に登りたくなります。


Pentax *istD + DA16-45mm

上に登ってみると、パリのあまり高くない建築群の屋根が、身近に感じられる高さとなります。窓から景色を見ている人と目があったりして、なかなか新鮮な体験。


Pentax *istD + DA16-45mm

一方、高架の北側に、実は「暗く雑然とした」雰囲気が隠されています。北側には、ほぼ隣接するように建築が立ち並んでいて、完全なバックスペースとなっています。ただし公道ではないので、この写真のようにわざわざ覗き込まなければ気づかないかもしれません。


Pentax *istD + DA16-45mm

逆に高架と建築が隣接していることを利用して、遊歩道からアパートへのアプローチが設けられているところもありました。


Pentax *istD + DA16-45mm

緑化遊歩道(promenade plantée)の入口の階段。ローラーブレード、スケートボード、犬の散歩は禁止されているようですが、この看板を見ると自転車はOKということでしょうか。いずれ、端から端まで探検してみたいものです。宮下志朗さんの『パリ歴史探偵術』(講談社現代新書、2002年)には、この遊歩道から今でも線路が残っている廃線跡に入り込んで、廃線歩きをしたという冒険談が楽しく描かれていました。この冒険にも心惹かれるものがあります。

Posted: 金 - 7月 1, 2005 at 06:46 午後          


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