シャンゼリゼの街灯〜建築家による街灯デザイン



Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

凱旋門の近くまで行ったので、以前から撮りたかったシャンゼリゼの街灯と凱旋門の写真を撮影。前回のアレクサンドル3世橋の街灯に続いて、またも白黒にしてみました。


Pentax *istD + Flektogon 35mm/f2.4

シャンゼリゼの街灯は、パリの他の地域で見られる街灯とは異なる、ここだけにしかないデザインとなっています。同じような写真を1年前 にも撮っていたので、柱の途中に「顔」があることは知っていました。


Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

(白黒だと情報の伝達に限界があるので、ここからは以前に撮ったカラー写真でいきます。)さて、この街灯をデザインしたのは、19世紀の建築家J・I・イットルフ。パリには、ドイツ生まれのこの建築家の作品が、北駅 をはじめとしてサン=ヴァンサン・ド・ポール教会堂、冬のサーカス など色々とありますが、彼の重要な仕事の一つが、凱旋門からコンコルド広場に至るまでのシャンゼリゼ一帯の整備でした。


Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

街灯のディテールを見ると、さすがに新古典主義の建築家らしく、コリント風の柱頭を鋳鉄でデザインしているのがわかります。


Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

無駄が少なく端正なデザインのシャンゼリゼの街灯に比べると、あまりの装飾過多で驚かされるのがコンコルド広場の街灯。この広場にはシャンゼリゼ型の街灯も数多く立っているのですが、広場を囲むように間隔を開けて立っている、この緑色の巨大なサボテンのような街灯の前に、すっかり印象が霞んでしまっています。


Pentax *istD + TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3 XR

この街灯はフランス語で «colonne rostrale» 、ラテン語では «columna rostrata» と呼ばれる、軍艦の舳先のモチーフが円柱に組み合わされたものになっています。僕は専門外なので詳しく知らないのですが、古代ローマにおいては海戦の勝利を記念する装飾だったとのこと(see N. PEVSNER, The Penguin Dictionary of Architecture)。しかし、ここコンコルド広場の中心にはナポレオンのエジプト遠征の副産物ともいうべきオベリスクがそびえ立っているわけですが、ナポレオンといえば、イットルフがこの街灯をデザインする30年ほど前にトラファルガーの海戦でイギリス海軍に大敗を喫したはずでは・・・と、思わずその真意を勘繰りたくなってしまいます。ただ、おそらく実際にはコンコルド広場に面して当時の海軍省があったことによるのでしょう。確認はとれていませんが。


Pentax *istD + DA16-45mm

ところで、この «colonne rostrale» をモチーフとした街灯は、オペラ座の周りでも見られます。こちらのデザインには、多少なりともシャルル・ガルニエが関わっているのではないかと想像しているのですが、これもまだ確認していません。


Pentax *istD + DA16-45mm

ただ、オペラ座と戦艦の関係については、想像もつきません。単にコンコルド広場でイットルフがデザインした街灯から、影響を受けたということなのでしょうか。


Pentax *istD + DA16-45mm

オペラ座の側面には、ビックリするほど装飾的な «colonne rostrale» もあって、見ていて飽きることがありません。こちらは台座の部分に戦艦の装飾があしらわれ、そのうえに大理石の巨大な円柱が立ち上がるデザイン。


Pentax *istD + DA16-45mm

オペラ座の周りを飾る街灯は、どれもきわめて装飾的 で、一見の価値ありです。

Posted: 金 - 1月 20, 2006 at 02:31 午前          


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