アラブ世界研究所



Pentax *istD + DA16-45mm

雲一つない蒼穹の下、アラブ世界研究所の近くを通りかかったので、以前、内部の写真を撮らずに通り過ぎた ことを思い出し、今日は寄り道してこの有名な窓の写真を撮ってきました。


Pentax *istD + DA16-45mm

こちらが南側ファサード。この幾何学模様のガラス張りファサードは、アラブ世界の文化を表象する幾何学(アラベスク)模様であると同時に、建築の内部に差し込む日光の量を調整するという機能をも備えているもの。というわけで、セーヌ川に面した北側では、当然ながらこのデザインは見られません。セーヌ川に面した北側ファサードは川の流れに沿って湾曲し、普通だったら建築の表の顔になりそうなところですが、アラブ世界研究所の場合、この中庭に面した南側ファサードがあまりにも有名すぎて、どうしてもこちら側がメインのファサードに思えてしまいます。


Pentax *istD + DA16-45mm

さて、こちらが中からこの窓を見た写真。窓は大きい正方形のユニットで構成されています。この正方形の窓は、アルミニウムの細かい細工によって分割され、幾何学模様を作り出しています。それぞれの小窓には、カメラのレンズと同じような絞り羽根が仕込まれていて、これで採光量を調節するようになっているというわけです。


Pentax *istD + DA16-45mm

こちらが中央の大きい丸窓。逆光でわかりにくいですが、円の周囲に斜めの切り込みが入っているのがわかると思います。これが絞り羽根の回転の方向を示すもの。ここには9枚の羽根が取り付けてあります。


Pentax *istD + DA16-45mm

中央の丸窓を取り囲むようにして、小さい丸窓が二重に並んでいます。内側の小窓が写真で下の段となっている四角い開口を持つ窓。これは4枚の絞り羽根からなっています。外側に並んでいるのが写真で上の段となっている8角の星形の開口部の窓。これは8枚の絞り羽根でできています。


Pentax *istD + DA16-45mm

同じく8枚の絞り羽根をもつレンズの写真を撮ってみました。このレンズ(PENTAX Macro Takumar 50mm/f4)も、絞りの形状が星形になることで有名なレンズ。


Pentax *istD + DA16-45mm

アラブ世界研究所に戻ります。これは窓の正方形ユニットのもっとも外側に並ぶ2番目に大きい開口部。ここには6枚の絞り羽根が使われているため、正六角形が現れています。


Pentax *istD + DA16-45mm

こちらは窓の四隅の隙間にある、偽絞りともいうべき固定された開口。


Pentax *istD + DA16-45mm

さらに正方形の窓と窓との間には、長方形の窓が挟まれていますが、そこではパンチング・メタルの透かし開口が開いています。ここでも8角の星形と正六角形のモチーフが使われています。


Pentax *istD + DA16-45mm

窓の前の廊下に落ちた影。手前に見えるのが、パンチング・メタルの透かし窓からの光です。


Pentax *istD + DA16-45mm

エレベーター・ホールの吹き抜け越しに撮影。仮設のような作りの階段が、やはり光を内部に浸透させるのに一役買っている感じがします。


Pentax *istD + DA16-45mm

内部からは、絞り羽根が閉じている窓を確認できなかったので、これは外から撮影したもの。下の窓は絞り開放。上の窓が最大絞りということでしょうか。


Pentax *istD + DA16-45mm

ファサードの窓面だけを写真に撮ってじっと見ていると、壁を見上げているのか床を見下ろしているのかわからなくなってきます。久々にこの建築をじっくり見学してきて、ジャン・ヌーヴェル(+Architecture Studio)という建築家は、そのアイディアの面白さとデザインの確かさとをこの建築で表現しているな〜と、改めて圧倒されてしまいました。

Posted: 日 - 6月 19, 2005 at 05:46 午前          


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