シャルトル大聖堂へ!



Pentax *istD + DA16-45mm

久々にシャルトルに行ってきました。考えてみたら昨年の7月以来です。実は今度、『10+1』のウェブサイト上にあるフォトアーカイブ にてフランス・ゴシックを紹介させていただくことになったので、最近ゴシック建築の写真を整理しています。そこで紹介すべきゴシック建築のなかで、絶対にはずすことのできないのがシャルトル大聖堂なのですが、手元にあまりいい写真がなかったので、今日は改めて写真を撮りに行ったわけです。


Pentax *istD + DA16-45mm

もう一つの目的がこちら。これはシャルトル大聖堂の扉口にある人像柱。ほぼ同時期にシャルトルに僅かに先行して、このモチーフを発案したのがおそらくゴシック誕生の教会堂サン=ドニだと考えられるのですが、サン=ドニの人像柱はフランス革命後の蛮行によって破壊されてしまい現存しないため、ここシャルトルの人像柱が重要になります。いままでシャルトルに来たときには、彫刻は僕の研究テーマからははずれるため、あまりきちんと観察していなかったのですが、いま進めている研究に関連して、どうしてもこれを詳細に見たかったということもあり、一石二鳥のシャルトル行きとなったわけです。


Pentax *istD + DA16-45mm

せっかくなので、ありとあらゆる角度から写真を撮ってきました。ファサードの北塔(1枚目の写真、左側の塔)は、内部の螺旋階段をつたって上までのぼることができます。地上80mにも達しようかという高みから見下ろした風景は素晴らしいものです。ふと思い出したのが、いまからちょうど10年前、初めてヨーロッパを訪れたときにも、友達と一緒にこの塔をのぼったこと。今日見た景色は10年ぶりの景色だったというわけです。


Pentax *istD + DA16-45mm

そして今日の最大の収穫はこれ。大聖堂の床に描かれた巨大ラビリンス(迷路)です。シャルトルにはいままで何度か訪れていますが、いつもこのラビリンスの上に椅子が並べられ、全体像を見ることはできませんでした。ところが今日は椅子が脇に寄せられ、たくさんの観光客が迷路巡りを楽しんでいました。このラビリンスの図像は古くは古代ギリシアにまで遡るものですが、なかでもゴシック時代のシャルトル大聖堂のラビリンスはもっとも有名なものといえるでしょう。この迷路、実は一筆書きになっていて、いわゆる<迷路>ではありません。そのため、<迷路>は英語の<maze>に対応させ、こちらの<labyrinth>には<迷宮>という訳をあてることも多いようです。すなわちクレタ島のラビュリントス(ギリシア神話のクノッソスの迷宮)ですね。

Pentax *istD + DA16-45mm

ゴシック大聖堂の床に描かれた<一筆書きのラビリンス>は、シャルトル大聖堂以降、いくつかの大聖堂で模倣されたようです。ラビリンスが大聖堂の床に設置されたことには諸説あるようですが、よく言われるのは、この一筆書きをたどると、聖地エルサレムへの巡礼の代わりになるということ。また、シャルトルでは現存しないのですが、同じくアミアン大聖堂の床に描かれたラビリンスでは、その中央(迷路のゴール)に、大聖堂を建てた建築家の名前と姿絵が描かれています。そのことから、クノッソスの迷宮を設計したギリシア神話のダイダロスを建築家の祖とする考え方との関係が主張されることもあるようです。


Pentax *istD + DA16-45mm

ラビリンスと身廊全体の写真をこんな風に撮れるとはまったく予期していなかったので、今日は本当にラッキーでした。観光客が迷路巡りをしているのもお構いなしで三脚をたてて、シャッタースピードを遅くして撮影していたので、なんだかラビリンスの上を幽霊たちが彷徨っているような絵になってしまいましたが、それもまた一興ということで・・・

Posted: 土 - 4月 2, 2005 at 06:13 午前          


©