リヨンをめざしてドライブ



Pentax *istD + DA16-45mm

先週末、7/30〜8/1にかけて友人夫婦と4人でドライブ旅行に行ってきました。今回は、運転に疲れたらドライバーをチェンジできるということで、今まで車では到達できなかった彼方の町、リヨンをめざして。リヨンは中部フランスの中心都市にして南仏の入口ともいうべき位置にある大都市です。ちなみに1枚目の写真は、1日目に途中で立ち寄ったブールジュの大聖堂。


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僕らが出発した7/30(土)というのは、8月から夏休みをとってバカンスに出かける人の帰省ラッシュ(?)のピークに当たる日だったようで、今まで体験したことのなかった大渋滞に巻き込まれてしまいました。一日目の宿を取ったクレルモン=フェランの町は、遙か昔の火山の噴火によってできた円錐状の丘の上の町で、近くにはミネラル・ウォーターで有名なヴォルヴィックの源泉もあるという特異なシチュエーションだったのですが、渋滞のせいであまり観光はできず、旧市街の散策とロマネスク教会堂の見学で精一杯でした。写真は旧市街にあるパスカルの小道。ここは、かの哲学者パスカルの生地だそうです。


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2日目、クレルモン=フェランを後にして、いよいよリヨンにたどり着きました。ここまで来ると空の色も光の強さも、パリとはまったく違うように感じます。


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リヨンのサン=ジャン大聖堂。北方のゴシックとはひと味違った雰囲気を感じます。大聖堂の前にそびえるフルヴィエールの丘の上には19世紀に建設された独特の外観を持つノートル=ダム=ド=フルヴィエール教会堂が建っていますが、丘の上に立つ19世紀の歴史様式主義の教会堂が町のシンボルになっている様子は、パリのモンマルトルの丘に建つサクレ=クールを彷彿とさせます。


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今回リヨンをめざした理由の一つに、リヨンの南の小さな村にある「理想宮」を訪ねるという目的があったのですが、リヨンから南に向かう高速がこの日も渋滞している様子だったので、ここに行くのは諦めました。「理想宮」というのは、シュヴァルという郵便局員が配達途中に拾い集めた、彼のインスピレーションを喚起するガラクタを積み重ねて、30年以上の歳月をかけて作り上げた建築≒オブジェ。どんなものか見てみたかったのですが・・・


Pentax *istD + DA16-45mm

そのかわりに訪れたのは、リヨンの郊外にあるル・コルビュジエの建築、ラ・トゥーレット修道院。写真に撮ると、やけにデジタルな印象になります。先月のロンシャンの教会堂に続いて、またもル・コルビュジエの傑作建築を見学したわけですが、非常に感覚的な空間に感じられるロンシャンに比べて、こちらは計算され尽くされた空間という感じ。


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2日目はブルゴーニュのボーヌ泊。ワイン畑、じゃなかった、ブドウ畑に囲まれたこの町はワイン好きにはたまらない町なのでしょう。写真は中世ブルゴーニュの代表的な世俗建築、ボーヌの慈善病院。屋根瓦は七宝焼き(エマイユ)でできています。


Pentax *istD + DA16-45mm

3日目、ボーヌを見学した後、最後に訪れたのはアルケ・スナンのショーの製塩工場。フランス革命期の建築家ルドゥーによる、一つの都市にも比せられる半円形の幾何学的な配置による建築群。ルドゥーのパリにおける建築は最近ここ でもご紹介しましたが、ゴチャゴチャとした町中で見るルドゥーの建築よりも、広大な敷地の中で見るそれの方が、彼の純粋さが際だって見えるように感じます。ルドゥーの建築に取り囲まれながら芝生に寝ころんでいると、他では決して体験できない場であることを改めて認識させられながらも、妙にくつろいだ気分になるのが不思議です。本当は円形で計画されていたのに、半分しか実現されずに半円状のプランで〈完成〉しているということにも物語性が感じられて、ここを舞台に、ガリヴァー旅行記の5番目の国として「半分の国」なんていうのが書かれたら、面白かっただろうな〜などと、とりとめのないことを考えてしまいました。
(ちなみにショーの製塩工場よりも『ガリヴァー旅行記』の方が50年ほど古いですが。)

Posted: 火 - 8月 9, 2005 at 03:24 午前          


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