いつもロマネスク時代〜ゴシック時代の古い教会堂をご紹介していますが、今日はおそらくパリでもっとも新しい教会堂建築をご紹介します。1998年に建てられた、れっきとしたカトリックの教区教会堂、Notre-Dame
de l'Arche d'Alianceです。Arche
d'Alianceというのは旧約聖書に出てくるモーセの契約の箱のこと。インディー・ジョーンズで言えば『失われたアーク』ですね。地面から少し浮き上がった1辺約18mの中央のキューブが、アークを表現しているようです。周囲を囲むフレームが、この幾何学形態を一層際だたせています。またこのキューブは12本の円柱によって支えられていますが、この円柱は12人の預言者を表現していると説明されています。このような数字の神秘主義は初期中世以来の伝統で、12世紀にサン=ドニの内陣を作らせた修道院長シュジェールも、まったく同様に「12本の円柱が12人の預言者を表し、その周囲の12本の円柱が12人の小預言者を表している」と、彼の新しい教会堂の象徴主義を誇らしげに説明しています。