notre-dame de l'arche d'alliance



Pentax *istD + DA16-45mm

いつもロマネスク時代〜ゴシック時代の古い教会堂をご紹介していますが、今日はおそらくパリでもっとも新しい教会堂建築をご紹介します。1998年に建てられた、れっきとしたカトリックの教区教会堂、Notre-Dame de l'Arche d'Alianceです。Arche d'Alianceというのは旧約聖書に出てくるモーセの契約の箱のこと。インディー・ジョーンズで言えば『失われたアーク』ですね。地面から少し浮き上がった1辺約18mの中央のキューブが、アークを表現しているようです。周囲を囲むフレームが、この幾何学形態を一層際だたせています。またこのキューブは12本の円柱によって支えられていますが、この円柱は12人の預言者を表現していると説明されています。このような数字の神秘主義は初期中世以来の伝統で、12世紀にサン=ドニの内陣を作らせた修道院長シュジェールも、まったく同様に「12本の円柱が12人の預言者を表し、その周囲の12本の円柱が12人の小預言者を表している」と、彼の新しい教会堂の象徴主義を誇らしげに説明しています。


Pentax *istD + DA16-45mm

教会堂の内部はこのようになっています。聖域と信者が入ることのできる領域を隔てる障壁には、外部と同じフレームが用いられています。一般的にフランスの教会堂は、バシリカ式と呼ばれる十字架型の平面形式を用いるため、奥に向かって長細い空間となりますが、ここは立方体であるために比較的求心性の強い空間となっているのが特徴的。


Pentax *istD + DA16-45mm

天井の中央にはトップライトが設けられていますが、天井に穿った穴をわずかに傾けることによって光が内陣(聖域)の方に向かうように工夫されているようです。内部空間もまた、幾何学的に、あたかもキューブの内部を少しずつ直方体で切り出したようなデザインとなっています。


Pentax *istD + DA16-45mm

教会堂の中央扉口の真上には、教会堂の外壁を覆っているのと同じフレームで鐘楼が形成され、そこに鐘が設置されています。
ちなみに設計はフランス人建築家グループのArchitecture-Studio。ジャン・ヌーヴェルの設計として知られるアラブ世界研究所(1987年)でヌーヴェルと協働したり、ストラスブールの欧州議会(1999年)を設計したりしている人たちです。

Posted: 火 - 1月 11, 2005 at 07:09 午前          


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